2016/10/11
今回は、BS・PLの大区分と簿記との関係性、についてです。
既に、BS、PLの概要について、こちらの記事で説明したとおりです。
また、こちらの記事で説明した通り、簿記における仕訳の大原則は、
・貸借に、1つ以上の勘定科目がある
・1仕訳で、貸借の合計額が一致する
でした。
今回は、これらを踏まえて、BS、PLの大区分
を説明します。
まず、BSの大区分は、
・資産
・負債
・純資産
です。
資産とは、ある時点に、その企業が有している、プラスの財産、と言えます。
代表的な勘定科目は、こんな感じです。
・現金・預金 : 現金と預金であり、お金です。
・売掛金 : 未回収の売上代金です。
・商品 : 未販売の販売用の資産の購入金額(原則)です。
・製品 : 製造業における未販売の完成した製品の製造原価(原則)です。
・材料 : 製造業における未使用の材料の購入金額(原則)です。
・土地 : 所有している土地の購入金額(原則)です。
・建物 : 所有している建物の購入金額から減価償却累計額を控除した金額(原則)です。
・有価証券 : 所有して株式や債券などの購入金額(原則)です。
負債とは、ある時点に、その企業が有している、マイナスの財産であり、何らかの義務、と言えます。
代表的な勘定科目は、こんな感じです。
・買掛金 : 未払いの商品の購入代金です。
・未払費用 : 未払いの役務費用です。
・借入金 : 未払いの借入金残高です。
純資産とは、ある時点の資産の負債との差額であり、株主の持ち分相当額、と言えます。
代表的な勘定科目は、こんな感じです。
・資本金 : 株主が出資した金額です。
・利益剰余金 : その時点までのその企業の利益の累計額です。(損失の場合は、損失の累計額)
(資本と利益剰余金を併せた概念として、株主資本、といいます。)
・評価換算差額 : 純資産を変動させるが、資本、利益に該当しないものの評価額です。
次にPLの大区分は、
・収益・利益
・費用・損失
です。
収益・利益とは、ある期間に発生した、その企業の資産の増加、または、負債の減少、または、資本の減少、をもたらすものです。
代表的な勘定科目は、こんな感じです。
・売上高 : その企業の主な商品、製品、役務の提供の代金です。
・受取利息 : 預金や有価証券から生じて受け取る利息です。
・固定資産売却益 : 土地や建物などの事業用資産を売却した場合に生じる利益です。
費用・損失とは、ある期間に発生した、その企業の資産の減少、または、負債の増加、または、資本の増加、をもたらすものです。
代表的な勘定科目は、こんな感じです。
・仕入高 : 商品や材料の購入金額です。
・給与・賃金 : 労働の対価です。
・地代家賃 : 借りている物件の地代や家賃です。
・支払利息 : 借入から生じて支払う利息です。
・固定資産売却損 : 土地や建物などの事業用資産を売却した場合に生じる損失です。
これらを踏まえて、資産、負債、株主資本、収益・利益、費用・損失、と、簿記の関係性を説明します。
資産は、増加は、借方、減少は、貸方に記載します。
負債は、増加は、貸方、減少は、借方に記載します。
株主資本は、増加は、貸方、減少は、借方に記載します。
収益・利益の発生(増加)は、貸方に記載します。(原則、増加のみで、減少は例外ですが、減少は、借方に記載します。)
費用・損失の発生(増加)は、借方に記載します。(原則、増加のみで、減少は例外ですが、減少は、貸方に記載します。)
つまり、資産、負債、株主資本、収益・利益、費用・損失、と、簿記における貸借との関係性がお分かり頂けたかと思います。
また、上記の説明からすると、各区分の本拠地は、
・資産 :借方
・負債 :貸方
・株主資本 :貸方
・収益・利益 :貸方
・費用・損失 : 借方
と考えられます。
BS
PL
これらを借方、貸方で分けてみます。
借方が本拠地のものは、
・資産
・費用・損失
貸方が本拠地のものは、
・負債
・株主資本
・収益・利益
となります。
このように借方、貸方別に本拠地の区分を設けると、
・プラス要素の資産、と、マイナス要素の費用・損失が、どうして借方で同じ本拠地なの?
・マイナス要素の負債、と、プラス要素の収益・利益が、どうして貸方で同じ本拠地なの?
といった疑問を抱かれる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、そんな疑問は無視して、これは、慣れて、覚えてください。
これが簿記、会計の世界のルールです。
私が初めて簿記を学んだのは、高校生の時でしたが、これらの区分と貸借との関係は、こういうものだと最初に覚えました。
訳あって、商業高校に進学したので。