2016/10/11
今回は、決算書の種類とそれぞれの目的について説明します。
一般的な企業会計の場合、以下の3種類の決算書が作成されます。(株式会社を想定しています。)
・損益計算書 (profit and loss statement の略で、PL、と言います。)
・貸借対照表 (balance sheet の略で、BS、と言います。)
・株主資本等変動計算書 (statement of shereholder’s equity の略で、SS、と言います。)
これらには、それぞれ以下のような目的があります。
PLは、ある企業の、ある期間に、どれだけ儲かったか、どれだけ損をしたのか、ということを測定し、伝達する決算書、と言えます。
通常、ある期間のことを、事業年度、といい、その期間は、ある特定の日から1年間であることが一般的です。
例えば、事業年度が、1月1日から12月31日までの場合に、ある企業の売上と費用の差額が、プラスであれば、利益、であり、マイナスであれば、損失、であり、利益のほうが損失よりもいいですし、利益はより大きいほうがいいですし、損失はより小さいほうがいいことになります。
ただし、PLは、あくまでもPLであって、収支計算書とは似ていますが、厳密には異なりますが、この点については、PLに関するより詳しい説明の中で説明していきたいと思います。
このようにPLは、ある事業年度の、利益または損失の程度を測定し、報告する決算書であり、一般的には、これを、経営成績を報告する決算書、とも言われます。
一方で、事業年度には、開始日と、最終日である、決算日が存在し、PLが事業年度という期間を基準にして経営成績を報告するのに対して、決算日時点における、その企業の過去の経営成績の程度と、資産と負債のバランスを測定する機能があったほうが決算書の利用者にとっては都合がよく、そのための決算書が、BSとなります。
つまり、BSとは、決算日時点における、資産と負債の残高と、その差額としての株主の持ち分の残高の状態を報告する決算書と言えます。
そして、そんな機能を持つBSのことを、一般的には、その企業の決算日時点の財政状態を報告する決算書、とも言われます。
ここで、資産とは、財産的価値のあるもので、現金や債権、土地等であり、また、負債とは、返済義務のある負の資産であり、各種債務や、借入金等となります。
そして、資産と負債の差額を、純資産、や、株主資本といいますが、これらは、その企業の出資者であり、共同所有者である株主の持ち分の累計です。
ここで、そんな株主資本にも、代表的には、資本と、過去の利益の累計、とに大別でき、それぞれは、いくつかの要因で増減することになります。
例えば、資本は、増資といって、新規に株式を発行して、新たな出資を募れば、増加しますし、逆に、減資といって、過去に出資してもらった資本を株主へ払戻すことによって、減少します。
また、利益の累計は、PLの結果が利益であれば、増加しますし、PLの結果が損失であれば、減少しますし、さらには、その事業年度中に、利益の累計の中から株主に対して配当金として分配をすれば、やはり、減少します。
そして、これらの株主資本の変動は、PL上では、反映されませんし、PLの結果については、前期末BSの株主資本と当期末BSの株主資本の増減要因になることから、両者をつなぐ機能が必要となり、また、どのように変動、増減したのか報告する機能も必要とされることから、その機能を担うのが、SSとなります。
今回の内容を要約すると、
・決算書は、一般的に、3種類で、PL、BS、SS
・PLは、事業年度の経営成績を報告する決算書
・BSは、決算日時点の財政状態を報告する決算書
・SSは、事業年度の株主資本の変動状態を報告する決算書
になります。